小説引用文 名言 名台詞 (浅田次郎)
時間というものの蓋然性について考える。母を見るにつけ、時間というものはそれほど絶対的に、着実に流れているとは思えない。記憶という暗い流れの中で、孤独な人間を乗せて行きつ戻りつしている小舟が、時間というものの正体だと、真次は思った。
- 地下鉄(メトロ)に乗って
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「このシェフ・ハットは伊達じゃない。司厨長の所在がどこか、誰からもすぐにわかるように、グラン・シェフはこういう帽子を冠っているんだ。首のナフキンは、汗が滴り落ちぬように巻いているんだ。ただ格好ばかりをつけているのは君らじゃないかね。何だねその軍刀は。その金ぴかの参謀懸章は。その略綬や階級章は。君も男ならば、そういう身なりを恥ずかしいとは思わんのか」
- シェエラザード(下)
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「人間は、用事がなくなったら死ぬものだ。生きているからには、生きねばならぬ理由がある。いわば天命とでもいうのかな。この数年、私はそのことばかりを考え続けてきた。やはり――これだったか」
- シェエラザード(上)
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